マッピングとは?
前回までの範囲は、自分で新たに開発する部分はほとんどなく、あるものを入れて使ってみたというレベルのもので、正直ここまでは比較的すぐにできました。ただ、実際に使える物に仕上げようとするとどうしても避けられない問題があります。それは、「地図情報が十分ではない」です。
有志の方々が日々、情報をアップデートしてくれるお陰でかなり使えるレベルにはなっているとはいえ、その2の経路探索で利用した自転車禁止情報やその3でのPOI情報など、まだまだ自転車乗り固有に必要な情報が不足している印象です。
しかし、情報がなければ自分で入れられるのがOpenStreetMap(以下、OSM)のいいところ。この地図を更新していく作業を「マッピング」といいます。ということで、まずは「自転車乗りのための効率的なマッピング方法」の模索から始めることにしました。詳しいことは、LeanOSMを参照頂くとして、マッピングには大きく分けて2つあります。
- 実地調査
実際に現地に行って調査を行き、その成果をマッピング。テーマを決めて集中的にマッピングするマッピングパーティというイベントも各地で行われている。 - アームチェアマッピング
OSMへの利用が認められている既存の情報を使ってマッピングする。利用可能な地図として有名なのがBing航空写真や国土地理院のオルソ地図。Googleの地図は利用不可。
マッピングの効率としては、「アームチェアマッピング>実地調査」ですが、航空写真だけではマッピングできないものも多くあります。なので、効率を上げるには「実地調査の効率を上げる」か「アームチェアマッピングに利用可能な情報を増やす」という2つのアプローチが考えられます。その実践例を簡単に紹介します。
自転車マッピング専用アプリ
そこでまず実験的に作ったのが、Android端末向けのマッピングツール。いちいち自転車を降りなくても特定の地物のマッピングができるようにしてみました。これを使って、ツーリングついでに地元のコンビニ、信号機情報など結構効率的に集めることができました。しかし、まだあまりに自分専用仕様になってしまっているので、後日整理して紹介・公開できるようにしたいと思います。
Mapillary
Mapillaryは写真を投稿することで、世界中のストリートビューを作ってしまおうというプロジェクトです。このプロジェクトのいいところは、公開されている写真はOSMのマッピングに使っていいことです。まだ、カバレッジが低く、Mapillary上のデータを使うことよりも、データを収集することの方が重要な段階かなという印象。敢えて自転車で収集する必要もないんですが、ライドついでに撮影してアップロードすることで、他のアームチェアマッパーと共有して地図品質向上に活用されることが期待できます。
ただ、このMapillary、自転車マッピングには現状なかなか敷居の高い点もあります。
- 専用のスマホアプリは自転車(特にロード系)ではまず使えない。
- アクションカムで撮影した動画をアップする方法もあるが、なかなか面倒。
最近はこれらについて試行錯誤しているので、次回以降はこちらを先に紹介していこうと思います。
おまけ
実際マッピングに取り組んで感じたことは、「マッピング自体も意外と楽しい!」です。本家OSMの地図に自分の入れたデータが更新されていくのも楽しいですが、OSMは既にGarmin Connect, Strava Runtastic等のアプリケーションに採用されているため、意外なところで自分の入れたデータに出会うことがあり、自分の貢献を実感できることも大きいです。特に自転車向けの地図情報は、世間的にはマイナーであるため、GoogleMap等メジャー系でも後回しにされている感が強く、自転車業界ではメジャー系のサービスでの採用例が多いような気がしています(他にPolar, Bryton等のGPSサイコンでも採用)。
この点でも、自転車地図関連は「自転車乗りが率先してOSMに情報を入れる」→「開発者がより簡単に自転車地図サービスを提供しやすくなる」→「利用者が増えてより地図が充実する」という好循環が廻りやすい環境にあると思います。このサイトの情報がその一助なれるようにしていきたいな、と思ってます。